よく、むし歯の治療をした歯が後どれくらい持つかというご質問をいただきます。正直に言ってしまいますと、歯の寿命を決める原因は一つではなく、様々な要因が複雑に関与してくるため、正確に知ることは大変困難です。しかし、その歯の状態を詳しく知るためには、以下の4つに分けて考えてあげるとヒントがみえてきます。これらを踏まえた上で、その歯にとって最善と思われる方法は何かをよく考えて、治療法を選択してあげることが大切です。
1.歯の感染状況→むし歯や根尖性歯周炎など、歯に入り込んだ細菌の量が多く、感染が強いほど、痛みや腫れなどの自覚症状が出やすく、治療後も完治しづらく、また悪化や再発によって歯の寿命が縮まっていきます。
2.残存歯質量→残っている歯の量や、歯のひび割れ、歯の神経の有無などが関係し、歯が少なくなればなるほど強度が落ちて歯の寿命は短くなります。また、歯の残っている量が多くても、歯が垂直的に真っ二つに割れてしまうと現代の医療では治せないため、ほとんどが抜歯になります。
3.人工材料の種類→どんな人工材料で治療しているかによって、歯の寿命や再発率、再治療の期間などが変わってきます。強度的に弱いプラスチックや、錆や変形を起こしやすい金属ほど、後々の再発や再治療などの問題が起きやすくなります。
4.その他の環境的要因→その歯の周りの環境も大きく歯の寿命に影響します。例えば、歯磨きの状態、歯並びや噛み合わせ、生活習慣や食生活、歯ぎしりや食いしばり、歯を支えてる歯ぐきや骨の状態、口腔内にいる細菌の種類、宿主の免疫力、唾液の量など影響を与える要因は多岐にわたります。