歯を失った際の治療方法について

歯を失った際の治療方法について

2023年4月29日

歯を失った場合には、何かしらの人工材料で補うことが望ましいですが、その方法は大きく分けると3つに分類できます。

0867001001

インプラント:歯を失った部分の骨に、手術をしてチタン製の人工の歯を埋め込む方法です。

☆メリット

  1. 歯を失う前と同じような違和感のないよく噛める歯を入れれること
  2. しっかりと管理していけば20〜30年と長期にわたって持つこと

☆デメリット

  1. 手術が必要になること
  2. 期間が3〜6ヶ月と長期間になること
  3. 骨がない場合は、追加の処置が必要になること
  4. 保険外診療のため、比較的費用が高額になること

〈当院のインプラント治療の例〉

1000006677

主訴:40歳の女性の方です。右上5番が歯根破折により保存不可能なため、インプラントをご希望されて来院されました。

治療内容:CT上でインプラントを埋め込む骨が足りなかったため、右上5番抜歯時に骨を増やす処置(赤丸部分)を行い、インプラント治療へ移りました。

治療期間と通院回数:10ヶ月、6回

治療費用:公的医療保険が適用されない自由診療495,000円(税込)

治療結果:抜歯時に骨を増やす処置を行ったことにより、最小限の介入で適切な位置にインプラントを埋入することができ、良好な結果を得られました。

一般的なリスクと副作用:外科処置になりますので、術後に感染リスクや腫れや痛みなどの症状が出る可能性があり、術後1ヶ月は創部を安静にしていただく必要があります。インプラント治療や骨造成の成功率は100%ではございません。特に喫煙者の場合は成功率が低いと報告があります。骨を増やす処置を行っても、意図した骨の量に出来ず、追加で骨を増やす処置が必要になる場合があります。すべての症例において、骨を増やす処置だけでインプラント治療ができる訳ではありません。インプラントはむし歯にはなりませんが、セルフケアや定期検診など適切な管理を怠ると歯周病になり、脱落するリスクがあります。

crown014_3KbENRl

ブリッジ:失った歯の両隣りの歯を削って、一体型になった人工の歯を接着剤でくっつける方法です。

☆メリット

  1. 1〜2ヶ月と比較的短期間で治療が終わること
  2. おおよそ歯があった頃と同じような歯を入れれること
  3. 条件によっては両隣りの歯をほとんど削らない接着ブリッジが可能

☆デメリット

  1. 従来型のブリッジは両隣りの歯のたくさん削る必要があり、歯の寿命を縮めてしまうこと
  2. 一体型になっているため汚れが溜まりやすく、歯間ブラシでケアをしないとむし歯・歯周病リスクが上がってしまうこと
  3. 歯の失くなり方によってはブリッジが適応できないこと
  4. 保険適応のブリッジだと費用は安いが、一部銀色になってしまい審美性が悪く、10年後の持ちも31.9%と持ちが悪いこと
  5. 保険外診療のブリッジは見た目もきれいで、10年後の持ちも89.43%と良いデータが出ているが、インプラントと同等程度の費用がかかってしまうこと

inlay-crown_compare007

義歯(入れ歯):失った歯の両隣りの歯にバネをひっかけて、取り外し式の人工の歯を入れていく方法です。

☆メリット

  1. 型を取るだけで作製でき、眼鏡と同じようなイメージで、入れたいときに入れて、外したいときに外せる手軽さ
  2. 保険外診療であれば、見た目の目立たないノンクラスプデンチャーという方法が可能

☆デメリット

  1. 他の2つの治療と比較して違和感が大きく、食後は外して洗わないといけないわずらわしさ
  2. 歯があった頃と比較しても50%程度までしか噛めるようにならないこと
  3. 保険適応の入れ歯は、他の歯に金属のバネをかかるため見た目が良くないこと
  4. 入れ歯のバネをかけた他の歯の寿命を縮めてしまうこと
  5. ブリッジと義歯の中間のような設計で、よく噛めて違和感の少ないコーヌスクローネ義歯という方法もあるが、保険外診療なので費用が高額になること