修復物の種類と寿命について

修復物の種類と寿命について

2022年11月1日
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フルジルコニア:セラミックスの中で最も強度の高い材質です

e.max:透明感のあり、歯のエナメル質と同等程度の強度を持つセラミックスです

ジルコニアボンド:天然歯のような美しい見た目と強度を兼ね備えた完全オーダーメイドのセラミックスです

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1.クラウン

銀歯のクラウンの10 年生存率は 55.8%

e.maxクラウンの10年生存率は96.7%(適応は咬合力のかからない歯のみ)

フルジルコニアクラウンの10年生存率は97.6%

ジルコニアボンドの10年生存率は92.9%

ラミネートベニアの10年生存率は98%

※生存率とは人工材料がお口の中に残っている割合で、歯に起こる問題とは分けて考える必要があります

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2.インレー

銀歯のインレーの10年生存率は67.5%

e.maxインレーの10年生存率は93.9%(適応は咬合力のかからない歯のみ)

ジルコニアインレーの10年生存率は85.3%

※生存率とは人工材料がお口の中に残っている割合で、歯に起こる問題とは分けて考える必要があります

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3.ブリッジ(1歯欠損)

銀歯のブリッジの10年生存率は31.9%

e.maxブリッジの10年生存率は70.9%(適応は咬合力のかからない歯のみ)

ジルコニアブリッジの10年生存率は89.43%

接着ブリッジ(セラミックス)の10年生存率は92%

※生存率とは人工材料がお口の中に残っている割合で、歯に起こる問題とは分けて考える必要があります

4.当院のセラミック治療の例

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主訴:30歳の女性の方です。乳歯が生え替わらず残っており、見た目の改善を希望されて来院されました。

治療内容:e.maxクラウン(公的医療保険が適用されない自由診療)による補綴とコンポジットレジン修復によって審美性の改善を行いました。

治療期間と通院回数:2ヶ月、4回

治療費用:公的医療保険が適用されない自由診療99,000円×4本(税込)と保険内診療

治療結果:歯の神経は取らず、最小限の介入で治療を行いました。施術から3年経過後も、良好な経過を辿っています。

一般的なリスクと副作用:コンポジットレジンは時間と共に着色・変色を起こす可能性があります。クラウンによる補綴は健康な歯を削る必要があり、術後に歯の痛みが出たり、歯の神経の処置が必要となることがあります。e.maxクラウンは長期間の使用や、強い衝撃が加わると割れることがあります。

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主訴:35歳の女性の方です。上の前歯の見た目を気にされて来院されました。矯正治療も検討しましたが、短期間で治したいとのご希望があったため、左上の2番目の小さい歯(矮小歯)のみ治療していくこととなりました。

治療内容:事前に仕上がりデザインを模型上で確認した上で、ラミネートベニア修復による審美性の改善を行いました。

治療期間と通院回数:2週間、3回

治療費用:公的医療保険が適用されない自由診療110,000円(税込)

治療結果:麻酔も使用せず、ほとんど歯を削ることなく最小限の介入で、短期間で審美性の改善を得ることができました。

一般的なリスクと副作用:ラミネートベニアは長期間の使用や、強い衝撃が加わることによって割れたり取れたりする可能性があります。

5.寿命が異なる理由について

保険治療で使用されている銀歯は、長く使っていると腐食したり変形したりして、ミクロなレベルで隙間が空いて経年劣化が起きてしまいます。

また、パラジウムという金属が20%含まれているのですが、金属アレルギーの問題があり、すでに諸外国では歯科治療にパラジウムを使用しないよう勧告が出ています。実際に、スウェーデンでは子供や妊婦に対しての使用が完全に禁止されています。実際に金属アレルギー検査をすると、半数の人に陽性反応が出てしまう金属です。

花粉症が、ちょっとずつ体内に蓄積して許容量を越えると症状が出るように、お口の中の銀歯も少しずつ錆びて金属イオンが溶け出しているのです。そして、知らず知らずのうちに体内に蓄積された金属がアレルギー反応を起こすと、お口の中が荒れたり、皮膚に痒みや湿疹が出たり、場合によっては難治性の皮膚疾患などを引き起こしたりすると言われています。

他にも、溶け出した金属がお口の中に染み付くと、歯や歯茎が黒くなるメタルタトゥーという問題もあります。こうなってしまうと、例え銀歯をセラミックスにしても、歯や歯茎は黒いままなので、見た目に悪影響を及ぼしてしまいます。
なぜこんな物が使われているかご説明しますと、日本の歯科保険治療の原型は、戦後の物資の乏しい時代でしたので、貴金属と比較して安く大量に手に入るパラジウムが入った銀歯を健康保険に指定されました。戦後70年が経ち、その後の研究で身体に悪影響があると分かっていますが、未だに見直されることのないまま現在に至っています。

一方で、セラミックスはお口の中の過酷な状況においてもにおいても安定した材料でアレルギーの心配もなく、経年劣化も金属と比べると起きにくく、持ちの良い材料となっています。

また、セラミックスがトイレや洗面台など水回りに使われていることからも分かるように非常に汚れが付きにくく、長く使っていても着色や変色をほとんどおこさず、また汚れが付きにくいということはむし歯や歯周病の原因となるプラークも付きにくく、むし歯・歯周病予防にも繋がります。

現在、主流で使われているセラミックスにはe.maxとフルジルコニアとジルコニアボンドの3種類があり、いずれも非常に優秀な経過を辿っており、一概にどれが一番優れた材料とは言えませんが、簡単に言うと、あまり強度が要求されない場所には優れた審美性を持つe.max、噛み合わせの力が強くかかる場所にはフルジルコニア、審美性が高く要求される場所にはオーダーメイドで作製していくジルコニアボンドという使い分けになるでしょう。

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